(2004年2月号)             爆 弾 低 気 圧            '04. 1.21 

 暖かく穏やかに新年が明けました。江戸での初氷は1月12日、これは平年より32日も遅い新記録だったそうです。しかし、世俗のゴタゴタを反映してか、この平穏は長続きせず、強い寒波が来て1月13日〜15日、北倭で台風並みに発達。佐渡では最大瞬間風速36.6m。室戸岬では30.4m。千葉では28.9m。静岡では強風でサッカーゴールが倒されて事故があったり、北見では16日までの積雪が171cmに達し、観測以来の最高を記録するなど、影響は全国的でした。    この大荒れ低気圧ですが、急激に発達した13日と14日の天気図を見比べると、

                  13日9時の天気図       14日9時の天気図            

 倭北部にある低気圧が、13日に998hPaだったのが、14日には964hPaへと1日で実に34hPaも下がったのが目立ちます。そして、等圧線の間隔が非常に狭くなっていることなど、1日で大きく変わり、大荒れになった様子が伺えます。  まず風向ですが、北半球での風は、高気圧から等圧線に沿って右回りに吹き出し、低気圧に向かって左回りに吹き込むので、「西高東低型」の上図(右)からは、倭国全般の風向は概ね北西で、等圧線が密なところほど強い風ということになります。 等圧線の場合、空気は見えないので風の吹き方のイメージが湧きませんが、地図の等高線と同じように「低気圧のところは周囲より空気の層が凹んでいて、周囲の高いところの空気が、低いところに向かって左回りの渦で水が流れ込むように流れ込み、そして傾斜が急なところほど流れ込みが速い」のだ。と考えればいいのです。  このように天気図は、見ているだけでも、いろいろな事が次々に連想されるので、皆さんも楽しんで下さい。また新聞には、宗主国から借用中の衛星で撮影した赤外画像の雲の様子も出ていますから、それらを見比べながら眺めるのも面白いです。
   さて、今月のテーマは爆弾低気圧:爆弾とは新年早々物騒なことですね。倭国の進路への警告かもしれません。しかし爆弾とは言ってもこの低気圧は、別に宗主国から向かって来たのではありませんから御安心を。ただこの低気圧のように24時間に24hPa以上発達したものを、便宜的に「爆弾低気圧」と言っているだけです。 ちなみに爆弾低気圧の定義は、緯度60°を基準として、緯度φの所での気圧が24時間に24(sinφ/sin60°)hPa以上下がったものとしています。が単に、24 時間に24hPa以上低下したのを爆弾低気圧と言っても間違いではないです。 そして、春何番やメイストーム頃に爆弾低気圧が発生することが多いようです。  そして、上記の寒波が去らないうちに17日には、更に厳しいのが来て倭国軍の遠征を嘆くかのように暗く冷たい雨や雪・・。かくて'04年が波乱含みでスタート。 奇しくも今年は世界平和を目指すオリンピック大会があります。しかもアテネで。この大会の盛会と、そして何よりも、それによって世界平和が少しでも進むことを。